記憶と感情の整理、日常のつぶやき、レビュー。「書く力」を養う場所です。

2006年02月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28
最新記事
最新コメント
mizem@webmaster
みずえむ的ナウのお話 (10/26)
ゆか
みずえむ的ナウのお話 (09/23)
mizem@webmaster
さよならスノウマン (09/16)
みかづき
さよならスノウマン (09/07)
mizem@webmaster
名残惜しむなかれ (08/27)
みかづき
名残惜しむなかれ (08/26)
最新トラックバック
QRコード
携帯向けトップページ
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
リンク集

RSS 1.0

ドリコムブログにログイン
無料ブログ作成なら
ドリコムブログ
無料ブログ作成ならドリコムブログ

MUNICH [2006年02月05日(日)]

munich.jpgミュンヘン

72年、ミュンヘン五輪のさなか11人のイスラエル選手が惨殺された。犯人であるテロ集団“ブラック・セプテンバー”に、イスラエルの情報機関が報復するさまを描き出した、スピルバーグ渾身の一作。報復チームのメンバーたちの苦悩や葛藤も丹念に描かれ、バナら演技派キャストが熱演をみせる。

スピルバーグ史実三部作の三作目。
彼は残虐をありのまま見せる、いやありのままではなく「効果的に」見せる天才だ。

発端は粗筋にあるとおりミュンヘン五輪テロ事件なのだが、それを主人公アヴナーが精神的に徐々に追い詰められていく背後にフラッシュバックで見せる、その見せ方が超いやらしい。効果的すぎる。プライベートライアンの後味を遥かに上回る気持ち悪さを感じながら映画館を後にした。
もちろん直後の夕食では赤ワインをいただきました。飲まずに語れるかってんだこのスピ野郎!

ちなみにこの映画、イタリア人と見たんだけど、彼の方が熱を込めて語りに入ってた。ワインは語り疲れた咽喉を潤す水がわりで。
彼いわく、「殺しは次の復讐を生み、恨みの輪が連なっていく、だからテロや戦争なんて馬鹿なことだ、そんなのは僕達(欧州の人)はわかってる。アメリカ人こそがこの映画を見て勉強すればいい!」
確かに彼らはいろんな民族闘争の舞台になってきたわけで…。ところが自分はこのミュンヘン五輪事件のことを、紙の上に書かれた歴史的事実としてしか知らない。それがそのまま二人の感想の温度差となった。
政治思想についてはひとまず置いといて、映画を見るに際して。
(ユダヤ人とパレスチナ人は除く)観客は、ストーリーの流れを傍観する立場におかれ、テロもそれへの報復も、どちらにも肩入れは許されない。主人公の行動に疑問を持ちながら物語を見ていく。私たちは主人公側の任務成功に安堵し、時には爽快感さえ得る一方、無謀な暗殺計画が失敗したり、報復されることを正当と判断する。スポ根もののような単一方向からの安定した視点が得られない。製作者は視点を意識的に変化させ、観客の混乱をリードしているのだ。2時間45分の長尺を観客は疑問や不快感に耐えなければならない


撮影テクニックはさすがだった。古い時代の話は特にざらついた質感で見せ、いろいろな国にまたがって暗殺は展開していくが、ドイツ、フランス、ギリシャ、オランダ、etc.、みな光の加減が違う。登場人物それぞれを際立たせる画面も、心象変化に伴って質感が変わっていく。ぶれや曇り、褪せなどを多用した画面は(デジタルじゃ得られない)フィルムの力を見せつけてくれる。

それから音響。エンドロールでベン・バートの名を見つけて納得しましたよ。爆発音と金属音にかけてはこの人すごいオタクだから。音響にびびらされたシーンが何度かありました。
フォーリーにもやられたなぁ。足音とか街のざわめきとか車の音とかも無気味すぎ。

各国でのエピソードに合わせて衣装は変わっていく(フランスの時は特にオシャレ〜)が、アメリカでジーンズしかも上下を着ていたので笑ってしまった。
もうひとつ。アヴナーが任務について最初に赴いた貸し金庫で見せるバッグ。それからずっと使っている。こういうところ、フェチにはたまらない。
それから、アヴナーが追い詰められていくごとに、料理を大量にしていくところ。あれはユダヤ料理なんだよね。彼が頼るものは故郷の匂いのするものだった。

しかしこの後味の悪さはどこにぶつければ…男性は反転不可(パートナーが深く傷ついているとき、体で慰めたことがある女性はあのシーンは胃が痛くて仕方なかったはず。あのエリック・バナは完全に目がいっちゃってて、席を蹴って出たかったくらいだった

だからといって、この映画がひどいというわけではない。面白いかと聞かれたら面白いと答える。だが、万人受けはしない。お勧めするかと聞かれたら、答えはNOだ。

だが自分は見てよかったと思う。ただ、気分が沈んでいる時は禁忌だ。
見た後にこれだけ語られれば、まんまと映画にハメられたと思うわけで。正当に1800円。
この記事のURL
http://sommernachtstraum.blog.drecom.jp/archive/150
トラックバック
» 映画「ミュンヘン」 from 茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり〜
原題:MUNICH
1972年9月5日、ミュンヘンオリンピックでのパレスチナゲリラ"ブラック・セプテンバー"による人質事件、そして報復の暗殺の物語が綴られる・・。



この映画、事件の関係者のコメントに基づいて創られたという。パレスチナゲリラの獄中... [Read More]
Tracked on 2006年03月12日(日) 19:29